【魅惑の黒い紋様】黒柿
黒柿
データ | |
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学名 | Diospyros kaki |
別名 | ジャパニーズパーシモン |
分類 | 広葉樹 |
科・属 | カキノキ科カキノキ属 |
原産国 | 日本 |
気乾比重 | 0.7 |
強度 | 硬い |
ヤンカ硬度 | – |
レッドリスト | 非絶滅 |
くすんだクリーム色に、墨汁を垂らしたかのような黒色。稀に緑色が現れますが太陽光や熱により退色します。
木材は硬くて密度が高い。
黒色化した部位と白い部位では収縮率の違いがある為、割れに注意する必要があります。
個体差があり、悪臭を放つ物もあります。
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概要
魅惑の黒い紋様
黒柿は、美しい黒色の杢目で知られる希少な銘木です。「黒柿」と呼ばれる特定の種は実際には存在せず、柿の木の中で数千本に一本の割合で黒い杢目の個体が現れます。
また、この特徴は樹齢150年以上の老木にのみ見られます。黒柿の墨のような黒色の秘密はまだ完全には解明されていませんが、研究によれば、タンニンが木材内部に染み出し形成されると考えられています。
黒柿は「珪化木」とも考えられており、根の中心の白色部分に存在する微生物が多様な元素を取り込むことで黒色化し、様々な紋様を形作っていると考えられています。
この墨のような黒色と魅惑的な杢目は日本人の琴線に触れ、戦国時代から人々を魅了してきました。
黒柿の孔雀杢:自然の驚異が生み出す美の極致
黒柿の孔雀杢は、その美しさと希少性で知られる特殊な杢です。
150年以上の長い年月をかけて成長した黒柿の木が、黒と白、そして一部には緑色を帯びた鮮やかな模様を持ちます。これは自然界の不思議な現象の一つで、孔雀の羽のような模様が木の断面に現れます。
この緑色の特徴は熱や紫外線によって変色する可能性がありますが、非常に美しく、まさに孔雀の羽を思わせる神秘的な色です。
黒柿の特徴的な外観、特に孔雀杢は、和家具や茶道具などの伝統工芸品によく用いられます。
江戸指物をはじめとする最上級の素材として様々な作品に使われ、大きな作品は茶室にも使用されています。黒柿の木が長い時間をかけて自然環境の影響を受け進化していく過程は、木材の美しさだけでなく、その生成過程においても自然の驚異を感じさせます。
孔雀杢はその珍しさと美しさから高い価値を持ち、伝統工芸品の素材として、また観賞用としても重宝されています。
伐採で明かされる柿の木の秘密
黒柿の木は、その外観からは特別な特性を見分けることが出来ません。
伐採して初めてその美しい黒い杢目を確認する事ができます。
昔、ある家庭の柿の木が伐採後に黒柿とわかり、市場で驚くほど高い金額で売買されたという話があります。普段は何気なく見過ごされがちな木が実は計り知れない価値を持っているなんて、ロマンがありますよね。
2024年現在でも市場での流通量は極めて少なく、その希少性は愛好家の間で高く評価されています。黒柿は日本を代表する銘木として、その美しさと稀少性で多くの人々を魅了しています。
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