【朱色の銘木】花梨
花梨
データ | |
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学名 | Pterocarpus indicus |
別名 | アメリカ/Amboyna(アンボイナ) フィリピン/Narra(ナラ) インドネシア/Sonokembang(ソノケンバン) マレーシア/Sena(セナ) タイ/Pradu(プラドゥー) ミャンマー/Padauk(パダウク) |
分類 | 広葉樹 |
科・属 | マメ科シタン属 |
原産国 | タイ、ミャンマー |
気乾比重 | 0.8 |
強度 | 非常に硬い |
ヤンカ硬度 | – |
レッドリスト | 非絶滅 |
朱色の鳥居を思わせる日本人に馴染み深い色合いです。
辺材はクリーム色をしています。
木材は硬くて密度が高いため、耐久性に優れていることも特徴です。
切削熱により特有の香りを放ち、周囲を甘い香りで包みます。
製品となった後も柔らかく香り、魅力を高めています。
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概要
花梨の原産国と特徴
花梨(Pterocarpus indicus)は、東南アジアおよび太平洋諸島に広く分布し、主な原産国にはタイ、ミャンマー、フィリピン、インドネシア、マレーシア、ベトナム、カンボジア、ラオス、パプアニューギニアが含まれます。
高さ30~40m、幹の直径は2mに達する大きな落葉樹です。葉は12~22cmで、5~11枚の小葉からなります。2月から5月に、ほのかに香る黄色や橙黄色の花を咲かせます。果実は半円形の莢状(さやじょう)で、直径2~3cm、4~6年で成熟し、乾燥すると紫色に変わります。
花梨の葉はシャンプーや伝統医学で使用されています。含有成分のフラボノイドに抗酸化作用があり、炎症を抑えたり、アレルギー反応を軽減したり、腎臓の損傷を防ぐ効果が期待されています。さらに、腫瘍の治療にも用いられることがあります。
別種の混同に注意!
マメ科の花梨とバラ科の花梨
日本で「花梨」といえば、カリン酒や砂糖漬け、のど飴でよく見かける果実が思い浮かぶかもしれません。一般に食材として見かける花梨は、バラ科の植物の果実であり、今回の記事で紹介しているマメ科の花梨(Pterocarpus indicus)とは別種です。以下の参考画像をご覧ください。バラ科の花梨は、観賞用として庭園や公園でよく見られる低木で、美しい花を咲かせます。
- バラ科の花梨(Pseudocydonia sinensis)
- 特徴: 春に咲く鮮やかな赤、ピンク、白の花
- 果実: 硬くて酸味が強く、ジャムやリキュールに利用されます
- 用途: 観賞用の庭木、果実の加工品
マメ科の花梨(Pterocarpus indicus)とバラ科の花梨(Pseudocydonia sinensis)は同じ名称で混同してしまいますが、全く異なる植物です。それぞれ異なる用途と特徴を持っていますので、ご注意ください。
日本における花梨材の歴史
日本では、江戸時代から花梨の木材は高級家具や工芸品に使用されてきました。特に、その美しい木目と耐久性が評価され、茶道具や建具に用いられてきました。近代においても、花梨の需要は高まり、輸入量も増加しました。現在でも、高級家具や楽器、装飾品の素材として人気があります。
花梨の瘤材について
花梨の中でも特に貴重で人気が高いのが、花梨瘤と呼ばれる瘤材(バール材)です。瘤材は木の成長過程で異常に成長した部分であり、独特の模様と美しさを持っています。
瘤材の特徴
- 美しい模様: 瘤材は渦巻き状や斑紋のある独特の模様を持ち、個々の瘤材ごとに異なるユニークなパターンが楽しめます。これらの模様は自然が生み出した芸術作品とも言え、その美しさから高く評価されています。
- 用途: 高級家具、装飾品、楽器、ナイフのハンドル、ジュエリーボックス、ろくろ細工などに広く使用され、その美しさと希少性から非常に高価です。特に高級家具や装飾品では、その美しい木目を生かしたデザインが多く見られます。
- 加工性: 硬くて、木目が複雑な為、加工には高い技術が必要です。しかし、その価値と美しさから、多くの職人に愛されています。細かな彫刻や精密な加工が求められる工芸品では、職人の腕が試されます
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